共働きや一人親家庭などで孤食を余儀なくされる子どもらを対象に、安価や無料で食事を提供する「子ども食堂」の設置が全国的に広がる中、JA東京みらい東久留米地区青壮年部*の有志は、東久留米市立西部地域センターの「滝山ふれあい子ども食堂」に野菜を無償提供しています。4月からJAを拠点に、規格外品を中心とした野菜を集荷。時期によって種類や量はまちまちですが、新鮮な地元野菜は食べ残しがないほど子どもたちに好評です。
同食堂はNPO法人東久留米ふれあいの街が2016年5月、子どもが一人でも立ち寄れる居場所として開設しました。栄養バランスの良い温かい食事や会話によって健全な心と体の育成を支援。地域で孤立する保護者の情報交換の場や、リフレッシュの場づくりも目指しています。
同部の篠宮仁部長が昨年7月、知人から依頼を受け、野菜の提供を始めました。昨年10月、全体会議で部員に協力を求め、部長含め5人が趣旨に賛同。負担の少ない集荷方法や納品作物の調整などをモデル化し、有志の輪を広げていきたい考えです。
同部の篠宮仁部長は「子どもは地域で守るもの。中食や外食では分からない新鮮な野菜の味を知るきっかけにし、子どもが親になったときに地元の野菜を選んでもらいたい」と食育を重要視します。
献立は運営側がJAを通して事前に連絡しますが、提供される野菜に応じて変更することも多く、同法人の矢部晶代事務局長は「予定になかった献立を増やせるときもあり、とても助かっている」と感謝を口にしています。
食事は月2回、午後7時~8時。入口に野菜の提供者を紹介し、子どもたちに地場産野菜であることを伝えています。毎回20~30人が訪れ、約15人のボランティアスタッフが調理。食事代は高校生までの子どもが100円、大人300円。
矢部事務局長は「多忙を極める家庭の利用が多い。産業に興味を持ったり、異年齢の児童と遊んだり、地域のよりどころとして機能させたい」と語りました。
同市内の子ども食堂は現在3か所で運営。対象や形態は異なりますが、今年度は新たに2カ所の開設を予定されており、今後も野菜の需要が増える見通しです。
*青壮年部=農業を営む若手農業者の集まり